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東京交響楽団 2006年度 新潟定期演奏会

2006年04月02日お知らせ
東京交響楽団 2006年度 新潟定期演奏会

2006年度定期演奏会のご案内

■第36回新潟定期演奏会 5/28(日) 
■第37回新潟定期演奏会 7/9(日) 
■第38回新潟定期演奏会 9/10(日) 
■第39回新潟定期演奏会 11/19(日) 
■第40回新潟定期演奏会 2007/1/28(日)

注目ポイント/見どころ

2006新潟定期の聴きどころ。

りゅーとぴあで東京交響楽団を聞く幸せ。
こう書くと不思議に思うかもしれません。でも、これは東京のクラシック・ファンにとっては本当に羨ましいことなんです。理由は3つ。

まず、りゅーとぴあが日本のコンサートホールで三指に入る音響のよさを誇っていることです。オーケストラの豊饒なサウンドが全身を包み込んでいる時でも、すべての楽器の音が明瞭に聴こえてくる…その両方を絶妙なバランスで兼ね備えているのが、りゅーとぴあなのです。

しかしそこまで音響がいいと、場合によっては演奏のアラが目立つという悩みも出てきます。でも東京交響楽団なら大丈夫!これが理由の2つめです。もともと平均点の高い演奏をする東響でしたが、2004年秋に音楽監督に就任したユベール・スダーンのもと、音の繊細さとパレットの数が飛躍的に増し、音楽ファンの評価がさらに上昇しています。また日本のどの楽団よりも多く在籍している外国人奏者のモチヴェーションの高さが、日本人奏者にいい影響を与えているようですよ。彼らの呼びかけで日頃からパート練習を熱心にこなすようになり、アンサンブルに磨きを掛けているのです。

そして理由の3つめは、りゅーとぴあに集う聴衆の温かさ。演奏前に楽員が登場すると拍手が起こり、曲を弾き終えて彼らが退場する時も、拍手で送り出す。こうした現象は、東京の定期ではなかなか見られないことです。また場内のくつろいだ雰囲気が、東響のメンバーから伸び伸びとした演奏を引き出しています。聴衆と演奏家による無言のコラボレーションが、幸せな気分にさせてくれるのです。

さて2006年度の新潟定期、全5回のラインアップは、かゆいところに手が届き、それを適材適所の人材が演奏するという「はずれなし!」の内容です。やはり注目は、06年にメモリアル・イヤーとなる2人の作曲家の作品でそれぞれ固めたプログラム。

まず第36回(5月28日)は、生誕100周年のショスタコーヴィチ・プログラムで、2002年のチャイコフスキー・コンクールで最高位を獲得した川久保賜紀が、当時から「取り組みたい」と語っていたヴァイオリン協奏曲第1番を披露。後半の交響曲第7番「レニングラード」では、ロシアを代表する巨匠として風格が出てきた指揮のドミトリー・キタエンコが、目の前が真っ赤になるような音の洪水を浴びせてくれるはず。

また音楽監督のスダーンは、2月の第35回定期につづいて生誕250周年のモーツァルト・プログラムで登場(第38回・9月10日)。今回は晩年の作品を中心に。彼が亡くなる年に完成したクラリネット協奏曲は、日本人で一番この曲を取り上げている赤坂達三の演奏で。また最後の交響曲第41番「ジュピター」では、スダーンならではの、すべての音符に命を吹き込むような演奏を期待しましょう。

おなじみ桂冠指揮者の秋山和慶と、常任指揮者の大友直人は、それぞれ20世紀以降に世界各地で書かれた傑作で構成。秋山指揮の第37回(7月9日)は、武満徹(日本)の「グリーン」、ラフマニノフ(ロシア)のピアノ協奏曲第3番、バーンスタイン(アメリカ)の交響曲第2番「不安の時代」を。ラフマニノフは高校のドイツ語教師からピアニストになった日系アメリカ人、ジョン・ナカマツが、そしてバーンスタインはジャズ・ピアノの佐山雅弘が担当するという、ぜいたくな夕べです。大友指揮の第40回(1月28日)も、細川俊夫(日本)の委嘱新作「スカイスケープ(空の風景)」に始まり、サクソフォン界のスター須川展也が超絶技巧で吹きまくるイベール(フランス)の室内小協奏曲、それにシベリウス(フィンランド)の名作・交響曲第2番で、この100年あまりに世界で花開いたクラシック音楽のサウンドを展観できます。

第39回は、ウィーン・フォルクスオーパーの音楽監督を務めていたマルク・ピオレの指揮で、ヴェルディ・オペラの魅力を存分に。森麻季(ソプラノ)に佐野成宏(テノール)という、イタリアでも活躍の場を広げているスター2人の共演で「リゴレット」「ナブッコ」「椿姫」からのナンバーを。「アイーダ」の有名な凱旋行進曲「エジプトとイジスの神に栄光あれ」では、にいがた東響コーラスの活躍にもご注目を。

5回の演奏会を毎回同じ席で聴けば、オーケストラのサウンドって、作品や指揮者によって、これほどまでに変わるのかという発見ができるはず。ぜひとも定期会員になって、日曜の夕方、りゅーとぴあに通ってください。

長野隆人(音楽ジャーナリスト)

N-PAC mate友の会 東響定期会員

東京交響楽団公式サイト

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