東京交響楽団 2007年度 新潟定期演奏会
2007年度定期演奏会のご案内
■5/20(日)
第41回新潟定期演奏会
■7/15(日)
第42回新潟定期演奏会
■9/16(日)
第43回新潟定期演奏会
■10/8(月・祝)
第44回新潟定期演奏会
■12/2(日)
第45回新潟定期演奏会
■2008/2/17(日)
第46回新潟定期演奏会
注目ポイント/見どころ
2007新潟定期の聴きどころ。
りゅーとぴあにおける東京交響楽団新潟定期演奏会も今年で9年目となるが、今年度からはさらに多くの方にオーケストラ音楽を堪能していただくためにリニューアルされることとなった。
これまでのプログラムは東京のサントリー定期のみから選ばれていたが、今回からは東京芸術劇場シリーズ、オペラシティシリーズ、川崎定期からのものも加わり、公演回数も増えて年6回行われる。それによってレパートリーの幅が広がり、通の聴衆にも初心者にも楽しんでもらえるような強力なラインナップができあがった。東響おなじみの名指揮者達、中堅から若手までの豪華なソリスト陣、そして古典から現代までの多様な曲目。休日の夕べ、音響の素晴らしいりゅーとぴあでオーケストラの音色に酔いしれる贅沢なひと時を過ごしてはいかがだろう。
今年度の最初を飾る第41回(5/20)は、まさにオーケストラの華麗な音色を存分に楽しめるベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」を前菜とし、メインディッシュとして交響曲の定番であるドヴォルザークの「新世界より」が、新政令市新潟を祝って置かれている。東響正指揮者飯森範親らしい鮮やかな棒さばきがまばゆいまでの管弦楽の色彩を引き出してくれるだろう。興味深いのは真ん中に置かれたcoba自作自演のアコーディオン協奏曲の新作初演。アコーディオンから新しいサウンドを生み出すcobaならではの刺激的な作品・演奏を期待したい。
第42回(7/15)は東響音楽監督スダーンの登場。彼は古典派作品を指揮する際には近年の研究に基づく時代的奏法も導入しており、今回はハイドン初期の交響曲第1番と、ベートーヴェンの交響曲中とりわけ清新な第4番で、そうした奏法を取り入れた生き生きした新鮮な演奏が繰り広げられることだろう。そして協奏曲はいまや大家の風格も漂わせている伊藤恵を迎えてのシューマンのピアノ協奏曲。シューマンをこよなく愛する伊藤だけに、この作曲家独特の幻想的なロマンティシズムを余すところなく表現してくれるに違いない。
第43回(9/16)は東響常任指揮者大友直人がマーラーとブルックナーを振る重量級のプログラム。現代バリトン界を代表するマティアス・ゲルネがマーラーの歌曲集「子供の不思議な角笛」を歌うのが聴きものだ。深い表現性に溢れる彼の声が聴衆をマーラーの世界に導いてくれることだろう。そしてブルックナーは大きなスケールの中に叙情を湛えた交響曲第7番。最近とみに芸風の深みを増している大友がこの作品の雄大さと美しさをいかに引き出してくれるのか楽しみである。
第44回(10/8)は東響桂冠指揮者の地位にある秋山和慶が、シューベルトの「未完成」交響曲とモーツァルトのレクイエムを取り上げる。いまさら説明の必要のない名曲中の名曲を、長年の信頼関係で結ばれた秋山&東響のコンビがどう聴かせるのか。レクイエムの独唱陣もまさに強力メンバー。にいがた東響コーラスの活躍にも期待しよう。
第45回(12/2)はまず客演指揮者シュテファン・アントン・レックに注目。現代音楽を得意とし、2005年の新国立劇場公演「ルル」でその真価を示した俊英だけに、今回、演奏の難しさで知られるストラヴィンスキー「春の祭典」でシャープな指揮ぶりを披露してくれそうだ。一方で古典であるハイドンの交響曲第104番にどうアプローチするのかも興味深い。また国際的にめざましい活躍を見せる若き名手、小菅優が弾くラフマニノフのパガニーニ狂詩曲では、彼女の鮮やかな技巧と豊かな音楽性が存分に発揮されることだろう。
第46回(2/17)には今や世界のトップレベルのヴァイオリニストの仲間入りをした庄司紗矢香が登場、曲目は未定だが、現在の進境ぶりを示す名演奏を披露してくれることは間違いない。そして飯森の振るベートーヴェンの初期の2つの交響曲。近年ベートーヴェンに力を入れている彼が、若々しい初期名作の魅力をいかに引き出すのか、期待が高まる。
寺西基之(音楽評論)
東響指揮者プロフィール
秋山和慶/桂冠指揮者
1941年東京都生まれ。1964年東京交響楽団を指揮してデビューののち40年にわたり同団の音楽監督・常任指揮者を務め、現在は桂冠指揮者の地位にある。シェーンベルク:歌劇「モーゼとアロン」、ラッヘンマン:歌劇「マッチ売りの少女」などの現代の大作を卓抜したバトンテクニックで指揮、いずれも高い評価を得て、東京交響楽団を数々の受賞に導いた。これまでにサントリー音楽賞、大阪府民劇場賞、大阪芸術賞、芸術選奨文部大臣賞、東京交響楽団とともに毎日芸術賞、京都音楽賞大賞、モービル音楽賞などを受賞した。2001年紫綬褒章を受章。
ユベール・スダーン/音楽監督
1946年オランダ生まれ。ベルリン・フィルハーモニー、ロンドン・フィル、ニューヨーク・フィルなどのオーケストラ、ザルツブルグ音楽祭、プラハの春、ブルックナー・フェスティバルなど数々の音楽祭にも出演。フランス国立ペイ・ドゥ・ラ・ロアール管弦楽団の音楽監督、ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者を経て2004年より東京交響楽団音楽監督に就任。古典からロマン派音楽のスペシャリストとしてオーケストラのアンサンブルを飛躍的に向上させた。2004年7月、ザルツブルグ州ゴールデン勲章およびザルツブルク市名誉市民の栄誉を受けた。
大友直人/常任指揮者
1958年東京都生まれ。1991年東京交響楽団正指揮者、2004年常任指揮者に就任。1992年から自らプロデュースする「東京芸術劇場シリーズ」を開始し、意欲的なプログラムを展開している。三枝成彰「忠臣蔵」、薫敏郎「古事記」(演奏会形式)、新国立劇場での三木稔「愛怨」など邦人オペラの初演は特筆される。近年では教育的活動にも力を注ぎ、こども定期演奏会では、指揮とともに司会を担当して好評を博している。2006年は東京交響楽団と、常任指揮者兼アドヴァイザーを務める京都市交響楽団の共演でシェ-ンベルク「グレの歌」を指揮した。
飯森範親/正指揮者
1963年神奈川県生まれ。1994年東京交響楽団指揮者に就任、1996年創立50周年記念ヨーロッパ公演を指揮し、絶賛された。2004年より正指揮者に就任、現在に至る。海外ではフランクフルト放送交響楽団、チェコ・フィル・ハーモニー、プラハ交響楽団、モスクワ放送交響楽団などから度々招聘されている。2001年からはドイツ、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の芸術総監督兼首席指揮者(GMD)に就任。東京交響楽団とも定期演奏会や「名曲の旅シリーズ」で数々の名演を残している。2005年第13回渡邉暁雄音楽基金音楽賞を受賞。