2009新潟定期演奏会/東京交響楽団
2009年度定期演奏会
■第53回 2009/4/19(日)
■第54回 2009/6/14(日)
■第55回 2009/9/6(日)
■第56回 2009/11/8(日)
■第57回 2010/2/6(土)
■第58回 2010/3/21(日)
注目ポイント/見どころ
09年は東響定期+1で登場!
新潟のクラシック音楽ファンに贈る多彩なオーケストラ音楽が楽しめる東響定期。来年度も聴き逃せないラインナップがそろいました。ぜひこの機会にお得な定期会員にご登録ください。
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第53回 2009年4月19日(日)17:00~ 04-06年サントリーホール<ホール・オペラ>のプッチーニ全3作品で東京交響楽団を指揮、その深い音楽性が話題となったイタリア人指揮者ルイゾッティが新潟定期に初登場します。ルイゾッティはサンフランシスコ・オペラの音楽監督に就任することが決まっていますが、それに先立ち2009年4月から東京交響楽団の首席客演指揮者に就任いたします。情熱的な指揮でオーケストラをリードし、明るい人柄で楽団員の信頼も厚いルイゾッティとの息のあったコンサートにご期待ください。 出演/ニコラ・ルイゾッティ(指揮) ■メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」作品27 S席\7,000、A席\6,000、B席\5,000、C席\4,000円、D席\2,500
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第54回 2009年6月14日(日)17:00~ 2007年11月に定期初登場で「春の祭典」を指揮し、詳細に読み込まれたスコアによる独自の音楽性を示したレックが、マーラーを携えて戻ってきます。マーラーのウィーン時代に作曲された大編成で緻密なオーケストレーションがそのタクトで表現されます。チェロ協奏曲にはアシュケナージ、デュトワ、シャイーとの共演やムター、プレヴィンとのトリオで注目を集めるドイツの新星ダニエル・ミュラー=ショットが登場し、並外れた音楽的見識と確かな様式感でシューマンを演奏します。 出演/シュテファン・アントン・レック(指揮)、ダニエル・ミュラー=ショット(チェロ) ■シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 作品129 S席\7,000、A席\6,000、B席\5,000、C席\4,000円、D席\2,500 |
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第55回 2009年9月6日(日)17:00~ フィンランドとの日本の外交関係開設90周年を記念して、フィンランド大使館の協力のもと、シベリウスの隠れた名曲「テンペスト」(シェイクスピアの戯曲「嵐」が素材)の日本初演をふくむオール・シベリウス・プログラムをおおくりいたします。過去に「クレルヴォ交響曲」を2回演奏、また「交響曲第2番」は2枚のCDをリリースするなど多くのシベリウスの作品をとりあげてきた大友の集大成ともいえるコンサートです。 出演/大友直人(指揮)、ヘレナ・ユントゥネン(ソプラノ)、ティーナ・マイヤ・コスケラ(メゾ・ソプラノ)、 ■シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26、悲しきワルツ 作品44-1、「カレリア」組曲 作品11、 S席\7,000、A席\6,000、B席\5,000、C席\4,000円、D席\2,500 |
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第56回 2009年11月8日(日)17:00~ 2003年7月の第21回新潟定期で絶賛されたゲルハルト・オピッツはドイツ・ピアノの正統派を代表する存在、とりわけブラームスの世界最高の演奏者の一人として名高く、スダーンがもっとも信頼を置くピアニストの一人としてもこの共演に大いに期待が寄せられます。交響曲第2番は、シューマンがメンデルスゾーンに宛てた手紙の中で「ハ長調のトランペットが響いています。これからどのようなものになるのかわかりません。」と書き始めのイメージを語っていた、シューマン作品の中でもベートーヴェン的といわれる機知に富んだ作品です。 出演/ユベール・スダーン(指揮)、ゲルハルト・オピッツ(ピアノ) ■ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 二短調 作品15 S席\7,000、A席\6,000、B席\5,000、C席\4,000円、D席\2,500 |
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第57回 2010年2月6日(土)18:00~ 2007年クララ・ハスキル・ピアノコンクールで優勝し、いま最も活躍が期待されているピアニスト河村によるモーツァルトと、飯森の「カルミナ・ブラーナ」。どちらもその演奏には定評があります。吉原、高橋の両氏とも「新国立劇場」での名歌唱はおなじみ、そして現在キール歌劇場の専属歌手として活躍している高田と、ソリスト陣も頼もしいかぎりです。 出演/飯森範親(指揮)、河村尚子(ピアノ)、吉原圭子(ソプラノ)、高橋淳(テノール)、髙田智宏(バリトン)、新潟市ジュニア合唱団(児童合唱)、にいがた東響コーラス(混声合唱) ■モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271「ジュノム」 S席\7,000、A席\6,000、B席\5,000、C席\4,000円、D席\2,500 |
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第58回 2010年3月21日(日)17:00~ 桂冠指揮者秋山の凝りに凝ったプログラム。ブラジル出身のヴィラ=ロボス、アルゼンチン出身のピアソラ、ゴリホフ、ヒナステラ、いずれも南米を代表する作曲家たちです。小松は日本のバンドネオン奏者の第一人者。二期会公演「ナクソス島のアリアドネ」で鮮烈なデビューを果たした安井がうたうのは、「アイナダマール」でグラミー2部門を制覇した、現在最も注目されているゴリホフの作品です。 演/秋山和慶(指揮)、安井陽子*(ソプラノ)、小松亮太**(バンドネオン) ■ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番* S席\6,500、A席\5,500、B席\4,500、C席\3,500円、D席\2,500 |
2009年東響新潟定期の聴きどころ
東京交響楽団は音楽監督スダーンを迎えて以降、急速に演奏水準を上げてきたと評価が高い。古典の演奏法、様式感をきっちりと把握することでオーケストラは確実に向上していく、との音楽監督の指導が実を結んできた訳だが、こうした動きが他のオーケストラにも刺激となって、今、我が国のオーケストラ界はかつてないうねりの時期にあると言ってもよいであろう。ここ「りゅーとぴあ」ではそうした切磋琢磨の渦中にある日本のオーケストラを居ながらにして楽しめる企画がある。「東京交響楽団新潟定期演奏会」、その聴きどころを見てみよう。
2009年のシーズン、まず4月はイタリアの新鋭ルイゾッティが登場、ドイツ=オーストリアの名作でコンサート指揮者としての真価を問う。ルイゾッティはオペラでの経験が深く、サンフランシスコ・オペラの音楽監督に就任するニュースが報じられたばかりだが、東京交響楽団との縁も深く、2009年からは首席客演指揮者に就任するというからこれは期待度が大きい。トスカニーニ、ジュリーニ、アバド、ムーティと名指揮者を数多く輩出してきたイタリア指揮界だが、ルイゾッティがその新たな後継者であることを確認する一夜になることだろう。
6月はドイツの俊英で、近年、我が国でもオペラ、コンサートの両サイドで感銘の大きな演奏を披露してきたシュテファン・アントン・レックが登場、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」を指揮する。全身が情熱の化身となったかのような激しい指揮振りを見せるレックだが、アバドのアシスタントとしての経験が物語るようにその音楽性はあくまでも緻密で、内なる感動の大きさが聴き手を魅了する真の実力者といえよう。交響曲がマーラーの大作だけに期待感も募るところだ。ムターやプレヴィンとの共演で名声を確立してきたドイツの若手チェリスト、ミュラー=ショットが弾くシューマンのチェロ協奏曲も味わいの豊かな演奏となろう。
9月は東京交響楽団の常任指揮者大友直人が登場、お得意のフィンランドの大作曲家シベリウスの作品を取り上げる。「フィンランディア」や「カレリア」など人気の名作が聴けるものも嬉しいが、シェイクスピアの戯曲「嵐」によった劇音楽「テンペスト」が日本初演されるとのことで、指揮者の強いこだわりが伝わってくる。日本とフィンランドの修好90周年を記念したプログラムであり、これは感銘の大きな一日となることであろう。
11月は東京交響楽団音楽監督スダーンの指揮で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番とシューマンの交響曲第2番が演奏される。ピアノはドイツ・ピアノ界の重鎮で、ブラームスを演奏しては第一人者との呼び声も高いゲルハルト・オピッツであり、味わいの深い、また重厚かつ壮麗なブラームスの世界が繰り広げられよう。シューマンの交響曲第2番は、シューマンの交響曲第2番は、シューマンの交響曲の中ではもっとも内面的で、深いロマン性が追求された名曲中の名曲である。過去にバーンスタイン、シノーポリなどが歴史的名演を聴かせてきたが、名匠スダーンの回答がどのようなものとなるのか興味は尽きない。なお聴く機会の少ないマーラー版によって演奏される点にも注目したい。
2010年2月は、東京交響楽団の正指揮者飯森範親によるコンサートでオルフの世俗的カンタータ「カルミナ・ブラーナ」が演奏される。1937年ドイツで初演されたこの作品の魅力は掟破りの大胆さにあり、合唱も、ソロも、オーケストラも実に明快かつストレートに聴き手に情熱をぶつけてくる。ドイツでの実績を誇り、またこの作品をもっとも得意とする飯森範親の独壇場といえる舞台が今から髣髴されるし、東響コーラスの熱唱にも期待感が集まる。前半では長らくドイツで研鑽を重ね、2007年のクララ・ハスキル国際コンクールで優勝を飾ったピアニスト、河村尚子が登場、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」を演奏する。オルフとは好対照をなす清冽なモーツァルトが初々しい感動に浸らせてくれることだろう。
3月には東京交響楽団の桂冠指揮者で、育ての親ともいえる秋山和慶が登場するが、意外にも曲目は珍しい南米の作品集である。ブラジルのヴィラ=ロボス、アルゼンチンのピアソラ、ヒナステラそしてゴリホフといった作曲家たちに焦点が当てられている。ピアソラは1990年代以降に世界的ブームとなり、タンゴ・ファン以外にもなじみの作曲家となったが、名曲中の名曲「バンドネオン協奏曲」そして「リベルタンゴ」がバンドネオン界の第一人者小松亮太を迎えて演奏されるから、これは楽しそうである。ヒナステラの名作にも注目だが、それ以上に近年話題の作曲家ゴリホフの歌曲が聴けるのも貴重で、これは感動刷新の旅となりそうである。
諸石幸生(音楽ジャーナリスト)
東響指揮者プロフィール
ユベール・スダーン/音楽監督
ベルリン・フィル、ロンドン・フィル、ニューヨーク・フィルなどのオーケストラ、ザルツブルク音楽祭、プラハの春、ブルックナー・フェスティバルなど数々の音楽祭にも出演。フランス国立ペイ・ドゥ・ラ・ロアール管弦楽団の音楽監督、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者を経て、2004年より東京交響楽団音楽監督に就任。古典からロマン派音楽のスペシャリストとしてオーケストラのアンサンブルを飛躍的に向上させている。2004年7月、ザルツブルク州ゴールデン勲章及びザルツブルク市名誉市民の栄誉を受けた。
秋山 和慶/桂冠指揮者
1964年東京交響楽団を指揮してデビューののち40年にわたり同団の音楽監督・常任指揮者を務め、現在は桂冠指揮者の地位にある。シェーンベルク歌劇「モーゼとアロン」、ラッヘンマン歌劇「マッチ売りの少女」などの現代の大作を卓抜したバトンテクニックで指揮、いずれも高い評価を得て、東京交響楽団を数々の受賞に導いた。これまでにサントリー音楽賞、大阪府民劇場賞、大阪芸術賞、芸術選奨文部大臣賞、東京交響楽団とともに毎日芸術賞、京都音楽賞大賞、モービル音楽賞などを受賞した。2001年紫綬褒章を受章。
大友 直人/常任指揮者
1991年東京交響楽団正指揮者、2004年常任指揮者に就任。1992年から自らプロデュースする「東京芸術劇場シリーズ」を開始し、意欲的なプログラムを展開している。三枝成彰「忠臣蔵」、黛敏郎「古事記」(演奏会形式)、新国立劇場での三木稔「愛怨」など邦人オペラの初演は特筆される。近年では教育的活動にも力を注ぎ、「こども定期演奏会」では、指揮とともに司会を担当して好評を博している。2006年は東京交響楽団と、桂冠指揮者を務める京都市交響楽団の共演でシェーンベルク「グレの歌」を指揮した。
飯森 範親/正指揮者
1994年東京交響楽団指揮者に就任、1996年創立50周年記念ヨーロッパ公演を指揮し、絶賛された。2004年より正指揮者に就任、現在に至る。海外ではフランクフルト放送響、チェコ・フィル、プラハ響に客演を重ねる。2001年ドイツ、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の総芸術監督に就任、現在は首席客演指揮者を務める。東京交響楽団とも定期演奏会で数々の名演を残している。2005年第13回渡邉暁雄音楽基金音楽賞、2006年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、中島健蔵音楽賞を受賞した。