Special interview 「デュオ・プリマ」
デュオ・プリマ
礒 絵里子(©FUKAYA Yoshinobu:auraY2)/神谷 未穂(©Fotofolly)
デビュー20周年の記念イヤーを迎えた、従姉妹同士のふたりから成る「デュオ・プリマ」(ヴァイオリン・デュオ)。礒さんは実力派ソリストとして、神谷さんは3つのプロオーケストラのコンサートマスターとして活躍中。その凄腕デュオが、15年ぶりにりゅーとぴあへ帰ってきます。9月23日(金・祝)開催りゅーとぴあ室内楽シリーズNo.44「3人の女神」に向けて、お二人がインタビューに答えてくれました。(当インタビューは「RYUTOPIA MAGAZINE」Vol.69における特集の再掲です)
――今年は「結成20周年」の記念イヤーとのことで、誠におめでとうございます。
神谷:おばあちゃんデュオを目指していますので、単なる通過点に過ぎません!(笑)
礒:最近は無伴奏ヴァイオリン・デュオでの演奏機会が多く、20周年を迎えてアンサンブルの精度がより高まったと感じています。
――デュオ・プリマとしては15年ぶりの登場ですね。前回は「能楽堂」での公演で、3ステージが完売でした。
礒:檜の香り、竹林のグリーンシャワー、赤い毛氈と何とも贅沢な空間で・・・お姫様になった気分で、気持ちよく弾かせていただきました。
神谷:他では絶対に味わえない、特別な場所でした。着物をモチーフにしたドレスで演奏したこともあり、心の奥に秘められた日本人としての感性が大いに刺激されました。それがまた、あの場でしか出せない音に繋がったかなと。着物のドレスと共に、またいつかりゅーとぴあの能楽堂で演奏したいです。
デュオ・プリマが15年前に演奏した「能楽堂」
――椿三重奏団や1コイン・コンサート等、お二人はりゅーとぴあでの演奏経験も豊富ですが、新潟のお客様やホールの印象は?
礒:初めてのりゅーとぴあは、約20年前の「1コイン・コンサート」でした。そのときから「熱心で耳の肥えたお客様だな」と。新潟の皆様の期待に応えたい、絶対に喜んでいただきたいと、毎回訪れるたびに思いますね。
神谷:ホールの響きが素晴らしいのはもちろんのこと、あれだけ広いのに深く包まれている感覚があり、演奏中も安心感があります。約1年前にりゅーとぴあでフランクのソナタを弾かせていただきましたが、最後の音が完全に消えてからの滝のような拍手。余韻まで楽しんでくださる新潟のお客様に、心から感動しました。
響きが良く演奏中も安心感のあるという「コンサートホール」
――従姉妹同士でデュオを組むメリット、デメリットは?
礒:メリットは、血の繋がりあるもの同士の「阿吽の呼吸」でしょうか。ちなみに私たち、幼稚園から大学まで学校が一緒、誕生日も10月17日(ショパンの命日)で一緒。従姉妹というより双子に近いですね。
神谷:デメリットは特にないのですが、音楽作りの最中に、言葉を選ばずストレートに意見をぶつけ合うので、初めて共演される方は皆様驚かれますね。「喧嘩してるの?」と。(笑)
河野 智美(©FUKAYA Yoshinobu:auraY2)
――共演者の河野智美さんの印象は?
神谷:私は初共演です。礒は10年以上前から一緒に演奏し、「いろんな引き出しがある素晴らしいギタリストだ」と。共演が楽しみです。
礒:演奏は実に丁寧。ソロを弾けば美音で、アンサンブルも上手。一緒だと心地よく弾けます。またリズムの取り方が巧みで、激しい曲では気がつけばこちらがノリノリです。
――プログラムのご紹介をお願いします。特にお二人の「推し曲」は?
神谷:プロコフィエフの「2つのヴァイオリンのためのソナタ」ですね。これは難曲中の難曲で、常設のデュオでないと息を合わせるのが大変。結成20年の私たちだからこその、この作品の「真髄」をお届けしたいです。
礒:河野さんとは「デュオ・パッシオーネ」というデュオも組んでいるのですが、CDに収録したファリャの「スペイン舞曲」は特に想い入れがあります。二人の真骨頂を発揮できる1曲かなと。
神谷:世界中で新型コロナウイルスが流行し、最近では私の住む東北地方で再び大きな地震がありました。このようなときには原点に返りたくなるのか、土の匂いがする曲を弾きたくなります。だからこそ「ルーマニア民俗舞曲」やカルメンの「ジプシーの女」では、3人の熱い気持ちをぶつけたいです。
――最後にメッセージをお願いします。
礒:今回は3人での演奏に加えて、「無伴奏ヴァイオリン・デュオ」「ギターソロ」「神谷+ギター」「礒+ギター」と、多彩で豪華な編成をお楽しみいただきます。特に「ヴァイオリン・デュオ+ギター」のトリオは大変珍しい編成です。
神谷:1ステージで5回も美味しい、それもすべての編成が引き立つよう練りに練った選曲です。ぜひ足をお運びください!