4つの奇跡が重なったコンサート
©Shion Isaka
―― 音楽企画課のNさんにお話しをお聞きします。いよいよ4/29(日)、「神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフ」が開催されますね。どのようなコンサートですか?
Nさん 「奇跡」のコンサートです。
―― 突然どうしました?「奇跡」がどうしたのですか?
Nさん 「奇跡」は一旦置きまして、まずは出演者のご紹介をさせていただきます。ヴァイオリンの神尾真由子さんは、世界三大コンクールの一つ、「チャイコフスキー国際コンクール」において2007年に優勝し、瞬く間に世界を代表するアーティストとなりました。人気テレビ番組「徹子の部屋」や「情熱大陸」にも出演されていますので、クラシックファンでなくともご存知の方は多いと思います。
―― 世界的に最も権威のある「チャイコフスキー・コンクール」で優勝とは凄い。神尾さんのどんなところが世界一なのでしょうか。
Nさん 「超絶技巧」だと私は思います。例えるなら、フィギアスケートの羽生結弦さんのように、寸分のミスもない完璧な音楽を毎回聴かせてくれます。また「難曲を易々と弾き抜く」と言っても、単に「速くて難しい曲」ばかりではないですよね。「テンポが遅くとも、深みや歌心を求められる」という意味での難曲もありますが、神尾さんの場合は緩急が自由自在で音色も多彩。ですから、どんな超絶技巧曲にも、優れた演奏力を発揮します。
©Jan Eytan
―― ピアニストのミロスラル・クルティシェフさんはどんな方?
Nさん 実は神尾さんと同年の「チャイコフスキー・コンクール」において、ピアノ部門の最高位(1位なしの2位)に輝きました。よってチャイコフスキーで共に頂点に輝いた、世界最高峰デュオと言えます。しかしながらこのデュオが、「世界最高峰」と言えるもう一つの理由があります。
―― なんですか?
Nさん 実はこのお二人、チャイコフスキーで頂点になった後に、夫婦となりました。
デュオ・リサイタルにおけるピアノは、ヴァイオリンと対等な立場です。これもフィギアに例えると分かりやすいのですが、「男女ペア種目」においては、二人の息がいかに合うかが重要ですよね。また逆に攻めるところでは、エキサイティングな丁々発止の渡り合いをしてくれないと面白くない。その意味で夫婦ならば「息」は合って当然ですし、渡り合いの際には遠慮もいらない。だからこそ、この二人は「世界最高峰のデュオ」と言えるわけです。
©Shion Isaka
―― それぞれの楽器で世界一を極めた二人による、「世界一息の合ったデュオ」。これは聴き逃せませんね。ところで、冒頭でお話されていた「奇跡」とは、なんのことですか?
Nさん 今回はいくつもの「奇跡」が重なり合って、急遽開催が実現しました。
まず1つ目は、「新潟での圧倒的な名演」。昨年10月に、東京交響楽団の新潟定期に神尾さんがソリストとして出演されましたが、ここでの演奏があまりに素晴らしくて、しばらく拍手がなりやみませんでした。
「次は神尾さんのリサイタルを聴きたい!」との声を多くいただくことにより、りゅーとぴあ側が公演実現に向けて動いた。これが一つ目の「奇跡」です。
©Shion Isaka
―― 2つめの奇跡は?
Nさん 2つ目は、「急遽追加されたツアー」です。当初、神尾さんの2018年度ツアー予定は6月。神尾さんのリサイタルといえば主催希望のホールも多いので、2年前には埋まることもざら。ダメもとで問い合わせたところ、6月はすでにブッキング終了で…。
しかしマネージャーが「何度もお断りしているホールもあるので、4月に急遽追加でツアーを行うことにした」と教えてくれたんですね。新潟の事情をお話してそこに入れられないかお願いしたところ、4月29日であれば何とか可能だと。しかしその日はすでにホールが埋まっていて、一度は断念しました。
―― なのに開催できることになったのが、3つめの奇跡ですよね?
Nさん 4月29日と言えば、毎年何が行われていましたか?そう、「ラ・フォル・ジュルネ」。残念ながら今年は中止となりましたが、これによりホールに空きができました。すぐさまマネージャーに電話をしたところ、まだ大丈夫ということで、急遽開催にこぎつけることができました。
©大窪道治
―― それは凄い!これを聴き逃すと、次はいつ神尾さんのリサイタルを聴けるか分かりませんね。
Nさん その通りです。しかしまだ奇跡は続きます。4つめの奇跡、それは4月29日の14時~16時の間、りゅーとぴあコンサートホールにいらした方だけが体感できる奇跡です。曲目もモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ28番、永遠の名曲であるフランクのヴァイオリン・ソナタ、そしてジャズ好きの方もご満足いただけるであろうガーシュインの「ポーギーとベス」など、最高のプログラムです。
ぜひ皆さんも「奇跡」を体感しに、りゅーとぴあへお越しください。
―― Nさん、ありがとうございました。