Special interview 外村 理紗さん(中編) –師・神尾真由子さんからの学びと、ストラディヴァリウスを託される想い
昨年、東京交響楽団第121回新潟定期演奏会に登場し、りゅーとぴあコンサートホールに美音を響かせた外村理紗(ほかむら りさ)さん。彼女の素晴らしい美音はどこからくるのでしょうか!? 外村さんの音楽に対する考え方や恩師との出会い、新しく貸与されたストラディヴァリウスなどの秘話をご紹介します!
ストラディヴァリウスの音色、音楽との向き合い方
―今年の1月より日本音楽財団から「ジュピター」というストラディヴァリウスを貸与されているとお伺いしました。どんな特長があるんでしょうか?
最初は音が飛ぶ印象を持ちました。それと同時に、ストラディヴァリウスは扱い方がすごく難しいので、ちゃんと音を鳴らせるまでが大変だろうなと感じました。
最初に弾いたときはE線とG線が突出して鳴っていたのですが、最近練習を重ねていくうちに、D線が鳴るようになってきて、時間とともに鳴り方が変わってきています。
まだお借りしてから5か月なので、今は慣れようと頑張っているところですが、本当に貴重な経験をさせて頂いています。自分のカラーも残しつつ、楽器に合わせて弾いていければと思います。
ストラディヴァリウス「ジュピター」を日本音楽財団より貸与(ご本人提供写真)
―外村さんの演奏を聴いていると、2001年生まれの方とは思えないほどの大人の風格を感じます。それはどこからきているのでしょうか?
いろいろな世界に出ると、私の知らないことが沢山あると感じています。最近は視野を広げようと本を読んだり、様々な人たちに会って話をしてみようと心掛けています。
また、ここ1~2年くらいから、クラシックだけでなくポップスやヒップホップなどの他のジャンルを聴いて、取り入れています。
「情熱的で不思議なオーラをまとった曲という印象があります」
―今回演奏するフランク作曲の「ヴァイオリン・ソナタ」はヴァイオリニストの中でもバイブルのような曲かと思うのですが、どのような気持ちでいらっしゃいますか?
この曲を初めて聴いたのは小学校高学年くらいの時で、当時はドラマチックでありながら、ベールがかったような不思議な雰囲気の曲だなという印象でした。
大曲であることは後から知ったんです。紀尾井ホールでのリサイタルで演奏させていただいた曲でもあるのですが、情熱的でいろんなカラーがあり、憧れの曲でもあります。
小学生の頃(ご本人提供写真)
―師事された神尾真由子さんも、りゅーとぴあには何度も登場して素晴らしい演奏をしています。神尾さんから学んだことで、印象的なことはありますか。
技術的にも音楽的にも、「全ての音を捨てない」ということを最初のレッスンを受けて感じました。例えば、同じフレーズが曲中に2回出てくる時、変化をつけて演奏することや同様に演奏するにしても、そこには理由が必要で、すべてに意識を向ける必要があると教えてくださいました。
神尾さんはすごく技術を持った方で、それを感覚だけでなく全て言語化して教えてくださいました。私はそれが本当に衝撃的で、たくさん学ぶべき部分がありました。普段はとても冷静な方ですが、話してみると母親のような懐の広さと温かさがあり、包み込んでくれるようなお人柄です。何があっても落ち着いて、あたたかくご意見をくださるので、私も将来あんな先生になりたいです。
アメリカで演奏会があった時に、神尾先生とドミトリー・シトコヴェツキーさんと(ご本人提供写真)
後編につづきます―
公演詳細
りゅーとぴあ会員限定コンサートVol.4
外村 理紗 ヴァイオリン・リサイタル
~東響121回新潟定期で賞賛の嵐!フランク生誕200年を彩る~
2022年6月18日(土)14:00開演
全席指定3,000円
ピアノ:沼沢 淑音
チケット好評発売中!
※こちらの公演は「N-PAC mate 友の会フレンズ(入会金0円・年会費2,750円税込)」と「インターネット会員(入会金・年会費無料)」に入会/登録した方のみチケット購入ができます。
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