無限に大きくなり、豆粒ほど小さくなるもの、なーんだ?
音楽企画課の榎本さんにお話しを聞きました。
―― 榎本さん、よろしくお願いします。
榎本 よろしくお願いします。もうすぐクリスマスですね。サンタさんに、お子さんのクリスマス・プレゼントの希望は伝えましたか?
―― はい。つい先日。
榎本 以前、新潟大学の学生さんに聞いた話しですが、その人は高校生の時まで親にこう言われていたそうですよ。
「隣町の親戚の叔父さんが、日本のサンタさんの窓口をしているから、叔父さんにプレゼントの希望を手紙で送りなさい」って。
手紙を出すと叔父さんから「お手紙あずかりました。サンタさんに送っておくね。」と電話がかかってくる。そしてクリスマスの朝、希望のプレゼントが枕元に置かれている…。叔父さんが、サンタさんと子どもの架け橋をしていたのですね。
―― ステキですね。
榎本 私たちも、サンタさんの架け橋になりたいものです。というわけで今日は、子どもたちへのクリスマス・プレゼントにぴったりの公演をお知らせしたいと思います。
―― どんな作品でしょうか。
榎本 親子向け日本語オペラの傑作、12/24(日)開催「森は生きている」です。舞台は大晦日のロシア。幼くわがままな女王が、4月に咲くマツユキ草をどうしてもほしいと言い出して国中が大騒ぎ。ご褒美の金貨に目がくらんだ義理の母の言いつけで、一人の女の子が夜の森に追いやられます。
―― なんだか怖いですね。榎本さん、さっき親子向けって言ってましたけど。
榎本 大丈夫。森に追いやられた女の子が出会ったのは、1月から12月までの月の精たちでした。
4月の精が他の精に頼んで、1時間だけ時間を譲ってもらって春を訪れさせ、女の子はめでたくマツユキ草を持ち帰ります。ところが今度はわがまま女王が「私も自分でお花をとってくる!」と森に入っていって…というお話し。
―― どうなるのか先が気になります。
榎本 親子向けと言っても、私たちは“子ども騙し”はしたくないんです。子どもと一緒に大人も楽しめるクオリティは絶対に確保したい。だから、出演はオペラシアターこんにゃく座という団体です。
―― おいしそうな名前の団体ですね。どんな方々ですか?
榎本 40年以上も活動する、日本語のオペラを次々に作っている団体です。彼らは日本語をはっきり発音し、マイクも使わずにお客様にしっかり歌を届けることに関して、たぶん世界一の人たちです。
―― そして日本語だから、子どもたちの心にまっすぐに届く。
榎本 そう。さらにお芝居が上手で楽しい。もっと言うと生の舞台ならではのマジックと言いますか、工夫に工夫が凝らされていて全然飽きない。出演者はピアニスト以外に12人なのですが、登場する役は24もあります。
―― 全員が一人二役ですか。
榎本 もうね、次から次へとステージ上に、1月から12月までの月の精やら、ウサギにオオカミ、おっかさんにカラスといったユーモラスなキャラクターが登場するので、お客様は全編ほぼ笑っている状態です。
―― おっかさん(笑)。
榎本 オペラというと格式が高いように思われがちですが、オペラシアターこんにゃく座は上質なテーマ・パークのアトラクションと思っていただいた方がよいくらいのエンターテイメントです。
長い歴史を誇るこんにゃく座はこれまで、たくさんの日本語オペラを作ってきましたが、この「森は生きている」という作品は中でも傑作です。
榎本 突然ですが、なぞなぞは得意ですか?
―― なぞなぞ?どうでしょう。言ってみてください。
榎本 「無限なほど大きくもなり、豆粒ほど小さくもなる。親が子どもに手渡したいプレゼントは、なーに?」
―― なんだろう…。
榎本 答えは「想像力」。何かを想像する力だと私は思います。
―― ほお。
榎本 親は、子どもが想像の翼を広げて人生を楽しんでほしいと願うじゃないですか。この公演、オペラシアターこんにゃく座が創る舞台はとてもシンプルなんです。舞台上にはピアノが1台とかんたんなセットだけ。でも、だからこそ見る人の想像力が制限されることなく、どこまでも広がります。
今年のクリスマスは、午後にこの「森は生きている」を見て、作品についてあそこが良かった、あれが面白かったとしゃべりながら、おいしいケーキを買って帰る。というのがおすすめの過ごし方です。
―― 思い出に残るクリスマスになりそうですね。そういえばこの公演、来場者プレゼント(こどものみ)もあるんですよね。こども券の提示で終演後にお渡ししますので、ぜひお持ち帰りください。