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山伏たちが、一夜の宿を借りた女の正体は、鬼女であった!

山伏たちが、一夜の宿を借りた女の正体は、鬼女であった!の画像

―― 演劇企画課のKさんにお話しをお聞きします。Kさん、今年初のインタビューですね。

Kさん よろしくお願いします。本年の最初にふさわしいか分かりませんが、今日ご紹介する公演のテーマは、「恨み」です。

―― 「恨み」とは、いきなり怖いですね。

Kさん 怨念の塊の“鬼女”が登場する能を、2/17(土)に開催いたします。

―― 「若手能楽師に聞く 能の楽しみ」ですね。イケメンの若手4人組が、実演とお話しを交えながら能の楽しみ方を紹介する企画です。確か今年のテーマは“鬼”でした。

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若手能楽師4人組

Kさん はい。「最初見るなら鬼の能」というくらい初心者の方にオススメなんです。鬼の能は舞いがなく、暴れまくるから眠くならないんですよ。
第1回講座ではゴージャスな雷神の鬼が登場する能「雷電」を、第2回では糸を投げまくる蜘蛛の妖怪の鬼が登場する能「土蜘蛛」をご覧いただき、いずれも鬼が暴れて見どころいっぱい、大好評でした。

―― そして今回は「黒塚」という能で、鬼女が登場します。ストーリーを教えてください。

Kさん 山伏の一行が、旅の途中の陸奥(みちのく)で、里女に一夜の宿を借ります。女が「絶対に覗くな」と言って出かけた部屋を山伏らは覗いてしまう。するとそこには、おびただしい死骸が!
山伏たちが逃げ出すと、鬼女の本性を現し怒りに燃えて襲いかかります。

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里女(鬼女に変身する前の姿)

―― 怖いですね。ホラー映画みたいです。

Kさん そうなんです。この能は「道成寺」「葵上」とともに“三鬼女”と呼ばれていて、シテ(主役)の鬼は般若の面をつけます。

―― 般若というと、ツノがあって口が裂けている、あの怖い鬼の能面ですよね。

Kさん 般若は女の恨みや執心を具象化している能面です。能では、ツノがあるのは女性の鬼だけ。同じ女性として、ちょっと納得いきませんが。
恐ろしいながらも、どこか人間の悲哀を残した深みのある表情をしています。ぜひ公演でご覧いただきたいのですが、目のあたりを見ると泣いているようにも見えます。

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―― 鬼は悲しんでいるのですか?

Kさん 「黒塚」の鬼は、最初から山伏たちを襲おうとしたわけではありません。宿を断ったのに強引に泊まった山伏たちをもてなすために、薪を取りに出かけます。なのに山伏たちに約束を破られ、怒り、鬼の正体を現してしまうのです。
裏切りと、怒りと、映画になりそうなストーリー展開で、実際に歌舞伎や現代劇、オペラにも翻案されています。

―― そんな「黒塚」を、ただ観るだけでなく、イケメン若手4人組が寄ってたかって解説してくれます。

Kさん 能は観ていると、ストーリーや、美しい衣裳や能面など、知りたいことが続々と出てくるジャンルです。この公演では、皆さまの「分からない」「知りたい」にお応えすべく、お話しと実演で分かりやすく紹介する内容になっています。

―― かゆいところに手が届く講座ですね。毎回ゲストが来られますが今回は?

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大日方寛さん

Kさん ワキ方能楽師の大日方寛さんが山伏役をしてくださいます。山伏なので、刀ではなく数珠のみで鬼女と立ち向かいます。祈りの力です。
丸腰で、鬼女と至近距離で対決するその姿にハラハラします。緊張感いっぱい、手に汗握る展開にご期待ください。

―― 歌人の梅内美華子さんも、いつものように登場されますか。

Kさん はい。美しき歌人の梅内美華子さんが案内役で、能のストーリーや背景をわかりやすくお話しします。能の進行にあわせて実演していきますので、能の中で「迷子」になる心配はありません。

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梅内美華子さん

Kさん また、能面や美しい能の衣装は能の魅力の一つですが、着付けを実演しながら、能装束について丁寧にご紹介します。
講座冒頭の出演者全員がご挨拶する、通称“大喜利”も人気です。各能楽師の個性あふれるコメントで、その素顔に触れることができますよ。

―― 最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

Kさん 能は敷居が高そう、と思っていらっしゃる方にこそ、オススメの公演です。値段も手頃な2,500円、なのに出演者のパフォーマンスが高くて、コスパの良さでも毎回ご好評をいただいていますので、ぜひ一度体験してみてください。
若き能楽師たちが、日本文化の誇りを広めようと創意工夫する姿をご覧いただき、エールを送っていただけると嬉しいです。

―― ありがとうございました。

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