この夏、お能の稽古に打ち込んだ市民の皆さんが、9/9(日)その成果を発表します!
りゅーとぴあでは毎年、一般市民の皆さんがお能を体験できる講座「舞の習い」を開催しています。「お能なんて敷居が高くて、自分でやるなど、とてもとても…」と思うことなかれ! 参加された方からは「楽しくて身になった」と好評の声をいただいている、人気の体験講座なのです。
4歳以上であれば年齢に関係なく参加できるこのプログラム、今年は元気いっぱいの子どもたちが集まってくれました。お稽古に打ち込む一生懸命なその姿を、写真多めのレポートでお伝えします!
子どもだって、ほらこのとおり。数回のお稽古だけでばっちり型が決まります。子どもたちはみんな覚えが早くて驚くばかり。稽古には洋服で参加できて、伸び伸びと動けるのも好評です。
写真の「こども仕舞(しまい)コース」の他に、大人中心の「仕舞コース」と「謡(うたい)コース」もあります。70代の方が参加することもあるんですよ。
みんなきちんと正座をして立派でしょう? お稽古中だけでなく、稽古前と後も必ず正座で「よろしくお願いします」「ありがとうございました」のご挨拶をします。お稽古を通して、自然に礼儀や所作を学べるのも、この講座の良いところなんです。
能楽堂という非日常空間でお稽古できるのも「舞の習い」ならでは。タイムスリップしたような不思議な感覚を体験することができます。
さて、「舞の習い」参加者の皆さんが、一般のお客様の前で成果を披露する、特別な発表会が9月9日(日)13:30から能楽堂で行われます! 入場無料ですのでお気軽に、直接会場までお越しください!
「舞の習い」の先生、山階彌右衛門さんインタビュー
毎年「舞の習い」の講師を務めてくださっている山階彌右衛門さん(シテ方観世流能楽師)。普段は能楽師として数々の公演に出演し、能楽ファンにはお馴染みの山階先生ですが、どんな思いで「舞の習い」と向き合ってくださっているのでしょうか。生徒さんたち、そしてお能そのものへの思いなどをお聞きしました。
―― 先生から見て、今年の生徒さんはいかがですか?
山階先生 皆さんとても熱心で、よくやっていますよ。今年は少数精鋭でやっている分、私もお一人お一人によく目が届きます。
―― 目が届く、で思い出したのですが、先生は稽古のことだけでなく礼儀作法についても一人一人にしっかりとお話しになりますよね。
山階先生 そうですね。初めはやんちゃな子どもたちも、最後はきちんとご挨拶をして帰るようになります(笑)。普段の生活で、ここまで礼儀や作法、姿勢などを学ぶ機会もなかなかないので、ご父兄にも好評をいただいている部分です。
ところで現代社会では、「お能なんて必要ない」という声が聞こえてくることもあります。確かにそうかも知れない。ですが、日本人として品(ひん)は必要だと思うのです。どんなに幼い子どもでも「よろしくお願いします」「ありがとうございました」と礼を尽くす、品格ある人間でありたい。そんなとき、お能をはじめ伝統芸能が教えてくれることは、とても大切なんです。
―― よく分かります。
山階先生 お能の登場人物には悲劇的なキャラクターが多くいますよね。例えば「卒都婆小町」という能では、乞食(こつじき)に身を落としてしまった小野小町が登場します。成れの果ての姿であっても、仏法の奥儀を語るなど、品を失っていない。美しい品格が身を支えてくれます。
―― さて先生、9月9日(日)13:30から能楽堂で行われる「舞の習い発表会」についてお聞きします。入場無料で、誰が見に来ても良いのですよね。
山階先生 はい。この6月からおよそ3ヶ月間に渡って稽古を続けてきた成果を、ぜひご覧になってください。人目があると成果発表にも気合いが入りますので、多くの方に来ていただきたいですね。
―― 発表会の見どころは。
山階先生 実はこの発表会、一般のお客様だけでなく、私たちのような玄人連中も見るべき価値あるものなんです。「素人の発表会だから」という考えは大きな間違いです。
―― どういうことですか?
山階先生 素人も玄人もそれぞれの良さがあって、どちらも見ないと持ち味はわからない、ということなんです。特に子どもの舞台は、家元でも絶対に出すことのできない“華”がありますからね。
また発表会では、生徒の皆さんが成果を発揮しようと一生懸命な姿を見ることができ、熱い気持ちが伝わってきます。緊張もするし、失敗もあるかも知れませんが、見る人の心に響いて元気を分けてくれるでしょう。お客様には、それを持ち帰っていただきたいですね。
―― 山階先生、良いお話しをありがとうございました。9月9日(日)13:30~の「舞の習い発表会」、楽しみにしています。