「パフォーミングアーツ・セレクション」が新潟へ!
高知・松本・いわきを経て、「パフォーミングアーツ・セレクション」が
10月30日(日)いよいよ新潟へ!
りゅーとぴあ×愛知県芸術劇場×Dance Base Yokohama
パフォーミングアーツ・セレクションin Niigata
今回登場する、日本を代表するダンスアーティストはいずれも「りゅーとぴあ」ゆかりの方達です。
酒井はなさんは、2003年ストラヴィンスキー作曲の音楽劇「兵士の物語」でりゅーとぴあに登場。王女役の気品あふれる姿は今でも忘れられません。
中村恩恵さんは、2007年Noismの外部振付家招聘企画「W-view」でNoismへ振付。今回は金森穣の師匠でもあるイリ・キリアンが中村のために振り付けた作品と自身の作品を披露します。
鈴木竜さんの作品に出演する飯田利奈子、中川賢は元Noism。中川賢は2009年から約10年間Noism1に所属。数々の作品に出演し、新潟のみなさまもよく覚えていらっしゃることと思います。また、飯田利奈子は2014年~2015年Noism2に所属。その後NDT1に所属するなど活躍中。Noismでも「カルメン」で魅力的なマヌエリータを演じました。
本公演のコンセプト・構成・プロデュースされた唐津絵理さんから寄稿いただきました。ダンスの最先端の表現、ぜひお見逃しなく!
唐津絵理・愛知県芸術劇場エグゼクティブプロデューサー
真っ白な衣裳を身に纏い、「白鳥」のごとく軽やかに舞うダンサーの姿が印象的なバレエは、600年ほど前にイタリアで誕生。当時は、貴族たちが自ら踊って楽しむ宴の一部でした。 その後、フランスに渡ったバレエは、劇場で鑑賞するための芸術となりロシアにて発展、貴族たちが楽しむ最先端の娯楽として、『白鳥の湖』などの現在で言うところの「古典バレエ」として確立しました。さらに、1900年代になるとその歩みはさらに加速します。
1907年、世界巡業を行ったアンナ・パヴロワの名と共に有名になった『瀕死の白鳥』(ミハイル・フォーキン振付)は、僅か2分半の音楽に合わせて、死に向かう白鳥の姿を最小限の技術とダンサーの表現力で描いた名作です。これを契機に近代以降、バレエは貴族のものから誰もが共感しうるより身近な身体表現へと進化していきます。
今回の公演では、これらバレエ芸術の進化の最先端をご紹介します。私がアーティスティック・ディレクターを務めるダンスの創造拠点Dance Base Yokohamaにて創作し、愛知県芸術劇場で初演を迎えた3つの作品を上演。いずれもバレエの技術を継承しつつも、その様式を解体したり、ジャンルを越境しながら、今日の表現を追求することで生み出された同時代=コンテンポラリーのダンス作品です。
酒井はな『瀕死の白鳥』/『瀕死の白鳥 その死の真相』
©︎Naoshi HATORI
日本を代表するバレエダンサーの酒井はなが、フォーキンの『瀕死の白鳥』と同時に、四家卯大のチェロに導かれるように、死への葛藤を語りながら踊る『瀕死の白鳥 その死の真相』。劇作家の岡田利規が、バレエと演劇の融合を実現した衝撃作です。
中村恩恵『BLACK ROOM』/『BLACKBIRD』よりソロ
©︎Naoshi HATORI
2つ目の作品は、より人間の内面の表現へとバレエの芸術性を更新したイリ・キリアンが中村恩恵に振り付けた『BLACKBIRD』と、中村が言葉にならない声に耳を澄まして創作した新作の連作。2つの作品を通して、中村自身の舞踊の系譜と進化の過程を垣間見ることができるでしょう。
鈴木 竜『When will we ever learn?』
©︎Naoshi HATORI
最後は英国で活動していた鈴木竜の問題作。ダンサーと振付家との非対称的な関係にフォーカスし、まさにいまの時代を投影した作品が誕生しました。この作品には元Noismの中川賢と飯田利奈子、そして柿崎麻莉子が出演します。
私たち誰もが等しくひとつだけ抱えて生きる身体を媒体にしたダンスは、言葉を介さなくても通じる唯一無二の芸術です。研ぎ澄まされた身体感覚をもつ舞踊家たちがコロナ禍で取り組んだ社会への応答、同時代の最先端の表現を是非ご覧下さい。