りゅーとぴあではこんな能楽公演もやっています! ~公演リポート「能楽堂で楽しむ節分」~
さる2月3日(土)午後、二十四節気《立春》の前日である《節分》当日。
りゅーとぴあでは『能楽堂で楽しむ節分』というユニークな能楽公演をお贈りしました。
「能楽堂に来ることも、能を観ることも、ぜんぶ初めて!」
そんな方にこそ楽しんでいただきたいという想いから始まった『能楽堂で楽しむ』シリーズ、今回は《節分》の豆まきや鬼払いにちなみ、蜘蛛の妖怪を退治する能【土蜘(つちぐも)】上演をメインに開催。公演の様子をご紹介します。
開場中
開演までの約30分間、ロビーでは「蜘蛛の巣はり」体験イベントを実施。
能【土蜘】の舞台上で使う作り物(能の舞台美術のこと)のひとつに「塚」というものがあり、4本の支柱の間に細い和紙を張り巡らせて蜘蛛の巣を作ります。(公演のたびに能楽師が手作りします!)
この蜘蛛の巣作りをお客様にも参加してもらって完成させよう!ということで、お子様はもちろん、たくさんのお客様が熱心に蜘蛛の糸をはってくださいました。
出来上がりは後半の部の写真にて!
いよいよ開演!
前半は、アナウンサー・角田智美(つのだともみ)さんの進行で対談や「蜘蛛の糸」投げ体験、仕舞【高砂(たかさご)】をご覧いただきました。
対談には、上古町の美豆伎庵 金巻屋(みずきあん かねまきや)さんの社長・金巻栄作(かねまきえいさく)さんが登場。季節の和菓子についてお話を伺いました。
古くは薬として作られた和菓子。色や形、名前にも意味があり、季節の変わり目に食べることで無病息災や招福を祈ったそうです。《節分》の豆まきも、豆に魔除けの力があるという考えから鬼や悪いものを追い払うために始まった行事だとか。
次のコーナーでは能【土蜘】だけで使用するめずらしい小道具「蜘蛛の糸」を、能楽師の指導の下、角田さんに舞台上で体験してもらいました。
この蜘蛛の糸は受注生産でひとつひとつ手作りする小道具のため、実はとても貴重品。
蜘蛛の糸に見えるようきれいに投げるのは難しく、能楽師でも失敗することがあるそうです。
初めて投げた角田さん、みごと大成功でした!
休憩を挟み、いよいよ後半の能【土蜘】へ。
開場中にお客様にはっていただいた蜘蛛の糸は、立派な蜘蛛の巣となり舞台上に登場。
そして蜘蛛の糸が放たれた瞬間、お客様からわあっと歓声があがりました。
糸投げが難しいことを前半でご覧になっていたため、感動もひとしおだった様子。
ちなみに能楽師は「ひとつも失敗できない!」と緊張したそうです(笑)。
終演後
特典として、来場者には終演後にオリジナル和菓子「鬼やらい」をプレゼントしました。
対談に出演した美豆伎庵 金巻屋さんによる創作で、節分にちなんだ鬼の角が2本かわいらしく並ぶ横に能【土蜘】の蜘蛛の糸が伸びているという、まさにこの公演のためだけに作られた特別なお菓子でした。
お菓子を受け取ったお客様の笑顔に、スタッフ一同の表情もほころびました。
能楽堂で和の雰囲気と能を楽しんでいただくこのような企画を、りゅーとぴあでは定期的に開催しています。
次のおすすめ公演としてご紹介したいのが、2/23(金・祝)「能楽師に聞く 能の楽しみ」第2回《春》です。
11年続く人気シリーズであるこちら、ナビゲーターの歌人・梅内美華子さんと喜多流能楽師4名が毎回ゲストをお迎えしてお贈りするレクチャー付き能楽公演です。解説と実演の2部構成で、能楽に関係のあるゲストと能楽師のトークや、当日上演する演目の解説、舞台上での装束の着付け実演、そして装束付仕舞の上演と、とても盛りだくさんのコンテンツで能をお楽しみいただけるお得な企画でもあります。
企画リニューアルのため、実は今回の公演が「能楽師に聞く 能の楽しみ」シリーズ最終回となります。
気になるという方、ラストチャンスをどうぞお見逃しなく!
ありがたいことに残席僅少です。