『どこまでも世界』をどこまでも追いかけてみた③(最終回)
11日間という創作期間を経て、本番当日。
小野寺さんと参加者の皆さんは朝から稽古に取り組んでいました。
時間の許す限り、体力の続く限り、ぎりぎりまでブラッシュアップのための稽古を続けます。
午後いちばんにゲネプロ(本番同様に行う最終リハーサル)を行い、そしてあっという間に迎えた開場時間。
お天気に恵まれて、嬉しいことに244名もの方にご来場いただきました。
さあ、いよいよ本番です!
舞台写真とともに、本番をご覧になったお客様の感想をご紹介します。
「初めての感覚というか不思議な世界に引きこまれました。1時間があっという間でした」
「無声映画は何本かみたことあるのですが、無声芝居をみるのは初めてで、(無声映画は)表情などよくみえることから分かりやすいけど、お芝居はどうなのか…と不安でしたがとても楽しめました!セリフのある芝居よりも集中してみれたことにびっくりしました」
「無言劇初めて観ましたが、面白かったです。妄想がどんどんふくらみました。登場人物たちが人なのか、感情なのか、物なのか、景色・環境なのか、いっぱい考えながら見て良い疲労感でした」
「動く絵画をみているようで、とてもたのしかったです!」
「語る身体、色、音、光、影、無音で語られる雄弁さ。想像をかきたてられます」
「いい意味で頭がおかしくなりそうでした。本当に人の動きなのかと疑いました。すごかったです!」
…たくさんのものを受け止めてくださったお客様のあたたかい拍手と共に、舞台は無事に終演しました。
が、参加者の皆さんはまだ終わりません。終演後には振り返りの会が!
「どこまでも追いかける」記事なので、もちろんお邪魔して取材させていただきました。
無事に本番が終わった安堵感から、おつかれさまでした~!と、なごやかな空気かと思いきや…?
この11日間、どんなことを考えながら参加していたのか。
終わってみて、いま何を思っているのか。
小野寺さんをはじめ、この舞台に参加した出演者全員が、1人ずつお話しました。
「セリフがない」ということに慣れず、毎日手探りだったこと。
身体だけで表現する難しさに、壁を感じて途方に暮れたこと。
いまこの場で「おもしろい」と求められている表現が、なかなか理解できず苦しかったこと。
考え考え話しながら、時には言葉に迷い、不意に涙がこぼれた人もいました。
「ワークショップ」や「市民とつくる」という言葉からは想像もできないような、肌がヒリヒリするほどの緊張感を持った創作空間だったことが、振り返りの会でのお話から伝わってきました。
真剣だった分だけ悩み、これまで培ってきた表現や経験を疑い、自己嫌悪も含めて自分自身と向き合った、そんな11日間だったようです。
その真剣さが、舞台での説得力、無言の雄弁さを生み出したのでは。
カメラを持って追いかけたスタッフとしては、そんなひとりごとを呟きたい気持ちでいっぱいです。
参加者の皆さん、本当におつかれさまでした。
そして本番にご来場くださったお客様と、この記事を最後までお読みくださった方へ。
心からの感謝を申し上げます。
最後まで見届けていただき、ありがとうございました!
★Photo Album 2024.8.31 – 9.1