能楽堂で味わう、極彩色の秋。
秋の風物詩が織り込まれた彩り豊かな作品。

内容

舞囃子「実盛」小倉 健太郎
仕舞　「加茂」川瀬隆士
仕舞　「半蔀 クセ」髙橋 章
狂言　「萩大名」山本 東次郎
能　　「紅葉狩」大友 順

能「紅葉狩」

山中の紅葉を愛でる美しい女性たちの登場から幕を開ける能「紅葉狩」を筆頭に、晩夏から秋を彩る名曲をお贈りします。萩の花見にやってきた遠国の大名が、生来の無骨者ゆえに滑稽な振る舞いを重ねてしまう狂言「萩大名」には、人間国宝・山本東次郎が登場。白い夕顔、紫の花咲く宮城野萩、色鮮やかな紅葉…。秋らしい風物と色彩に満ちた公演を心ゆくまでお楽しみください。

あらすじ　

舞囃子「実盛（さねもり）」

諸国を行脚する遊行上人（ゆぎょうしょうにん）の説法を、一人の老翁が熱心に聴聞に訪れます。しかしその姿は上人以外には見えません。不思議に思った上人が老翁に名を訊ねると、この地で討たれた平家武者の一人、齊藤実盛の霊であると判明します。後に武者姿で現れた老翁は最期の戦での死闘を語り、上人に弔いを頼んで消えていきます。

仕舞「加茂（かも）」　

加茂神社を参詣した神職が、祭壇の白羽の矢の謂れを里の女に尋ねます。その矢は祭神・別雷神（わけいかずちのかみ）の御神体であり、昔この矢を拾った水汲みの女は別雷神の子を宿し御祖明神（みおやのかみ）となったことを女が語ります。後に女は本来の神の姿で神職の前に現れ、人々に恵みを施す祝福の舞を舞って別雷神と共に豊穣の秋をもたらします。

仕舞「半蔀（はしとみ）クセ」　

ある僧が立花供養を営んでいた折、一人の女が現れ夕顔の花を手向けます。名乗らずに消えたその女が光源氏の恋人であった夕顔の霊と知り、僧が五条の家を訪ね菩提を弔うと、半蔀を上げて現れた夕顔が光源氏との恋の思い出を語り、舞を舞います。重ねて弔いを僧に頼み、夜が明ける前に半蔀の中へ姿を消すのでした。

狂言「萩大名（はぎだいみょう）」　

遠国の大名が遊山に出かけたいと太郎冠者に相談したところ、萩が盛りの庭見物をすすめられます。しかし庭の主が即興の和歌を詠むことを客に求めるため、この難題にどう答えるか、太郎冠者が主人のために一計を講じます。さてその結果は…。

能「紅葉狩（もみじがり）」

山中で紅葉を愛でる美しい女たちの集団に偶然行き会った平維茂（たいらのこれもち）一行は、誘われて酒宴に加わり、勧められるままに杯を重ねます。いつしか酔いつぶれてしまった維茂は夢の中で武内の神に出会い、女たちが鬼神であることを告げられ、同時に八幡大菩薩の神剣を授けられます。夢から醒めた維茂は、鬼に変じた女たちとの激しい戦いの末に、神剣で見事に鬼を退治するのでした。