プロの能楽師がお能の見どころをご紹介！

能楽師4人組が、分かりやすく丁寧な解説と実演でお能の楽しさを皆様にお伝えします。一つの能をテーマに、お能初心者の方でも楽しめる鑑賞方法やお能の見どころをご紹介。「お能の鑑賞が初めて」という方にも十分にお楽しみいただける内容です。能楽堂で「日本の和の心」を感じてみませんか。

日本人にとって特別な花「桜」を題材に描かれる哀しい愛の物語

テーマ

能「湯谷」

ゲスト

村瀬提（ワキ方福王流）

出演

佐々木多門、大島輝久、友枝真也、塩津圭介（シテ方喜多流）、梅内美華子（歌人）

【湯谷　あらすじ】

遠江国(とおとうみのくに)、池田の宿の主人である湯谷(ゆや)は、都で平宗盛(たいらのむねもり)の寵愛を受けていました。老母が病に臥しているため故郷に帰りたいと度々休暇を願い出ますが、宗盛は今年の花見までは一緒に過ごそうと聞き入れません。ある日、湯谷の侍女の朝顔が故郷より母の手紙を持って訪れます。その手紙には今生の別れの前にひと目でも会いたいという願いが書かれており、湯谷はその手紙を宗盛に見せて暇を願います。しかし宗盛はその願いを聞き入れず、清水寺の花見のお供を命じます。花盛りの席でも湯谷の心は母のことが気がかりで快くありません。湯谷が満開の花の下、宗盛の所望で心ならずも舞を舞っていると、にわか雨が降り始めます。雨が花を散らす様子を見た湯谷は母への思いが募り、その思いを和歌にし、宗盛に差し出します。その歌は宗盛の心にも届き、帰郷を許されます。湯谷は宗盛が心変わりしないうちにと、急ぎ故郷への旅路を急ぐのでした。

能「湯谷」

出演者 ＆ ゲスト出演者

佐々木 多門　SASAKI Tamon

シテ方喜多流能楽師。1972年生。喜多流能楽師・佐々木宗生の長男。塩津哲生に師事。

大島 輝久　OSHIMA Teruhisa

シテ方喜多流能楽師。1976年生。喜多流能楽師・大島政允の長男。祖父・大島久見、父及び塩津哲生に師事。

友枝 真也　TOMOEDA Shinya

シテ方喜多流能楽師。1969年生。喜多流能楽師・故友枝喜久夫の孫。友枝昭世及び塩津哲生に師事。

塩津 圭介　SHIOTSU Keisuke

シテ方喜多流能楽師。1984年生。喜多流能楽師・塩津哲生の長男。父・塩津哲生に師事。

梅内 美華子　UMENAI Mikako

歌人。1970年生。馬場あき子に師事。1991年角川短歌賞。2001年『若月祭』で現代短歌新人賞。2012年『エクウス』で芸術選奨新人賞及び葛原妙子賞。「あぢさゐの夜」で短歌研究賞受賞。現代歌人協会理事。

ゲスト

村瀬提　Murase Dai

ワキ方福王流能楽師。1970年生。故村瀬登茂三の孫。福王和幸に師事。