能で味わう「源氏物語」の世界。

大河ドラマでも話題の“世界最古の恋愛小説”「源氏物語」をテーマに能をお楽しみいただきます。
秋は、光源氏と高貴な恋人・六条御息所の愛憎を描いた名曲「葵上」を上演。
今回は、よりドラマチックな「古式」の特別演出です！
華麗な平安の恋物語と幽玄な能の世界をご堪能ください。

番組

お話　六条御息所はなぜ祟ったか？　　林 望

連吟　「玉鬘（たまかずら）」　　小林恆生　古澤幸正　石橋保夫

仕舞「源氏供養（げんじくよう)」　　大松洋一

仕舞「夕顔（ゆうがお）」　　武田宗和

仕舞「野宮（ののみや)」　　岡　久広

狂言「竹生嶋参（ちくぶしままいり）」　　野村太一郎

（休憩15分）

能「葵上（あおいのうえ)　 古式」　　山階彌右衛門

あらすじ

狂言「竹生嶋参（ちくぶしままいり）」

　無断で旅に出た太郎冠者を叱りにきた主人は、太郎冠者が竹生嶋参りをしてきたと聞き、気を取り直して話を聞くことにする。太郎冠者は、辰・犬・猿・蛙・くちなわ（蛇）が集まり、辰が立つ、犬が去ぬる、猿が去る、蛙が帰ると秀句（洒落）を言ったと語る。最後にくちなわの秀句を聞かれた太郎冠者は…。

能「葵上（あおいのうえ)　古式」

　光源氏の正妻・葵上が、怨霊にとりつかれ重い病気で床に伏しています。朱雀院の臣下が巫女に怨霊の正体を占わせると、壊れた牛車に乗った光源氏の恋人・六条御息所の生霊が現れます。御息所は皇太子妃としての華やかな日々と、衰え光源氏の愛が遠のいた現在の暮らしを比べて嘆き悲しみます。御息所は葵上の病床に迫り、冥府へと連れ去ろうとします。
　比叡山の修験者・横川小聖(よかわのこひじり)が急ぎ呼び出され、祈祷を行います。やがて鬼女となった御息所の怨霊が現れ葵上に迫りますが、修験者の法力の前に御息所の霊は怨念を断ち切り、成仏を遂げるのでした。
　今回は、世阿弥の「申楽談儀」にも記された「古式」という小書き（特殊演出）で上演します。「源氏物語」の有名な「車争い」事件を想起させる破れ車の作り物（大道具）を出し、御息所の恐ろしさと悲しさを表現します。

出演

お話／林望（はやし のぞむ）

作家・国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程満期退学。元東京藝術大学助教授。エッセイ・小説等著書多数。『イギリスはおいしい』で日本エッセイストクラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』で国際交流奨励賞受賞、『謹訳源氏物語』で毎日出版文化賞特別賞受賞。『能の読みかた』『謹訳世阿弥能楽集』等能楽関係著作も多く、能楽公演での解説にも出演多数。

山階 彌右衛門（やましな やえもん）

シテ方観世流能楽師。1961年、二十五世観世宗家 観世左近元正の次男として生まれる。父及び兄・二十六世宗家 観世清和に師事。2007年に十二世山階彌右衛門を襲名。重要無形文化財総合指定保持者。国内外の能楽公演で活躍するほか、ワークショップなど能楽普及にも力を注いでいる。2020年 第40回「伝統文化ポーラ賞」優秀賞受賞。

野村 太一郎（のむら たいちろう）

狂言方和泉流能楽師。1990年生。故五世野村万之丞の長男。2017年より野村萬斎に師事。能楽協会会員。3歳の時に『靭猿』で初舞台。既に『三番叟』『奈須与市語』『釣狐』を披く。能楽ユニット「MUGEN∞能」同人。新作能「白雪姫」を演出、主演。青山学院大学、桜美林大学非常勤講師。

字幕タブレット(1台500円/台数限定)

詞章(能のみ)・日本語・英語の3種類をご覧いただける字幕解説タブレットを、1台500円で貸し出します。
お申込みは当日、能楽堂ホワイエ「字幕タブレット受付」にて承ります。