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りゅーとぴあ・1コイン・コンサート

会館リピーターを増やす画期的コンサート

りゅーとぴあ・1コイン・コンサートの画像

1コイン・コンサート 100回記念公演より(Vol.100「ピアノ駅伝」)

新潟から全国へ広がった名物企画

年に6回、コンサートホールで開催される「りゅーとぴあ・1コイン・コンサート」は2002年にスタート。全席自由で500円を当日払い、基本的に午前11時半から1時間ほどで演目は5~10分程度の小品や名曲中心。アーティストによるトークもあり、クラシック初心者も楽しめますが、企画ミッションはそこに留まりません。「このコンサートでクラシックに興味を持った人を真のりゅーとぴあリピーターにする」ことを掲げています。

このコンサートは全国で初めて、りゅーとぴあの音楽企画課職員が発案しました。2000年ごろの市政調査で、りゅーとぴあにまだ来たことのない市民が多数いることに衝撃を受け、クラシックファン以外にも興味を持てるコンサートをりゅーとぴあで企画する必要を感じたことがきっかけです。
また同時に、才能ある若手演奏家が舞台で演奏する機会が少ないことを残念に思っていました。りゅーとぴあのような素晴らしい音響設備のコンサートホールで、若いアーティストが1000人のお客さまの前で演奏できる仕組みを作りたい。そこから浮かんだ企画が「1コイン・コンサート」です。

りゅーとぴあ・1コイン・コンサートの画像

1コイン・コンサートVo.74 三浦一馬(2014年)

クラシック音楽公演の常識を打ち破る

りゅーとぴあの認知度を上げ、クラシック音楽への扉を開き、ゆくゆくはりゅーとぴあのリピーターになってもらうためにはどうしたらいいか。新しい客層開拓のため、演奏会開催時間をそれまでの常識だった平日夜か休日昼ではなく、コンサートホールが空いている平日昼に設定。その時間帯に動ける50代以上の主婦をメインターゲットに定め、約100人に口頭でマーケティングするなど市場調査を敢行しました。ターゲット層の「チケットをどこで売っているのか知らないし、買い方が分からない」「公演時間が長すぎる」「クラシックは敷居もチケット代も高い」などの声から、現在の「1コイン・コンサート」の形ができました。

スタート前は「平日の昼間に1000人もクラシックを聴きに来るわけがない」と周囲に笑われましたが、「まずは3回開催させてほしい」と熱意で押し切り実現。初回のピアニスト・仲道祐子の演奏会は1011人の来場者という成功をおさめ、現在までに120回以上開催し、全国のコンサートホールに広まるまでになっています。

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音楽企画課の職員による「生CM」の様子

りゅーとぴあのリピーターを増やす工夫

りゅーとぴあリピーターになってもらうというミッション達成のため、1コイン・コンサートにはさまざまな工夫が施されています。
開演10分前に音楽企画課の職員が舞台上で、他の音楽主催公演を宣伝する「生CM」も実施。一年を通して、数々の若手演奏家の公演を聴き、厳選してオファーしている職員の言葉ですから説得力があります。1コインで演奏した若手アーティストを再招聘するなどの「1コイン関連企画」も年数本あり、言葉で目の前の観客に周知することで再来場を促します。
また新型ウイルス流行前までは、終演後、CD購入者だけでなく誰でも参加できる条件フリーの出演者サイン会を開催。演奏に感動したお客様が自分の気持ちを直接アーティストに伝え、サインをもらって握手をすることで、さらにそのアーティストのファンになっていただきたいとの想いからです。こうして同じアーティストが再度りゅーとぴあを訪れた際に、また足を運んでいただけるよう工夫しています。

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アートで人生をより豊かにするきっかけに

1コイン・コンサートのスタートから約20年間の平均集客数は1回約850人。りゅーとぴあ全体の観客動員数も着実に増え、認知度も上がりました。
出演アーティストは駆け出し時代、りゅーとぴあの大舞台で演奏した経験と、温かく迎えてくれた新潟の観客を忘れず、有名になっても再招聘に喜んで応じるなど、演奏家とりゅーとぴあ、地域、市民の絆も深まっています。

1コイン・コンサートで初めてりゅーとぴあを訪れたという人が「生CM」などの影響で他の公演にも興味を持ち、家族や友人を誘い、りゅーとぴあで芸術鑑賞を楽しむことに慣れていく。クラシックをはじめとする音楽やアートに自然と親しみ、人生を豊かにするツールとして取り入れるようになった市民が増えていることが、りゅーとぴあ・1コイン・コンサートの大きな成果と言えるでしょう。

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